電力中央研究所は、電気事業の運営に必要な電力技術及び経済に関する研究、調査、試験及びその総合調整を行い、もって技術水準の向上を計り、電気事業一般業務の能率化に寄与することを目的としています。
創設以来60年以上にわたって当研究所が培ってきた研究力を活かし、工学・理学・社会科学など多様な分野の専門家が連携して、電気事業に関わる研究開発を行っています。電気事業を取り巻く環境の変化を的確に見据え、電気設備の安全性向上や合理的な保守・運用に向けた研究を着実に推進するとともに、電力をはじめとするエネルギーの供給と利用に関わる新たな価値の創出にむけた研究に取り組んでいます。

当研究所では、土木、建築、環境、発電、送配電といった様々な分野において、シミュレーション技術を開発・利用しています。特に火力発電分野においては、極めて高温かつ、複雑な化学反応が生じている機器が多く、かつての研究開発は実験的手法によらざるを得ませんでした。そこで当研究所では、複雑な流れ場や化学反応をカップリングして高精度に解析可能なシミュレーション技術を開発するとともに、火力発電機器の複雑な形状を再現可能な計算方法と、数万のcpuコアを同時に使用する超並列計算法を組み合わせて適用することで、複雑かつ大規模な機器を対象にした場合でも、高精度なシミュレーションを実施することを可能にしました。これにより、機器開発の迅速化・省力化や、より合理的な設備保守・運用が可能になるものと期待されます。
今後も引き続き、シミュレーション技術を活用しながら、安定的かつ低廉なエネルギーを皆さまにお届けするべく、研究開発に取り組んでまいります。